【福岡】博多の住吉神社に行ってきた — 全国の住吉神社の“最初の一社”。三日恵比須と、のぞき稲荷と、力士像の「力」
博多駅から徒歩10分の「日本第一住吉宮」
今回訪れたのは、福岡市博多区にある住吉神社です。博多駅から歩いて10分ほど、都心のオフィス街のすぐそばにありながら、一歩境内に入ると空気が変わる、歴史の深い神社です。
その歴史はおよそ1800年以上前にさかのぼります。住吉神社は全国に2,000社あまりありますが、ここ博多の住吉神社はその中でも最初の神社といわれており、古い書物には「住吉本社」「日本第一住吉宮」と記されています。また、大阪の住吉大社、下関の住吉神社と並んで「日本三大住吉」に数えられています。ちなみに「住吉大社」と呼ぶのは大阪の神社で、福岡は「住吉神社」。同じ神様の系譜ですが、呼び名が違うのです。
ご祭神・住吉三神 — 「筒」の字に込められた星の意味
ご祭神は、底筒男神(そこつつのおのかみ)・中筒男神(なかつつのおのかみ)・表筒男神(うわつつのおのかみ)の「住吉三神」。古事記には、伊邪那岐大神(イザナギ)が筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原(あわきはら)で禊祓(みそぎはらえ)をされたときにお生まれになった、と記されています。相殿には天照皇大神と神功皇后がお祀りされ、これらを合わせて「住吉五所大神」とも呼ばれます。
禊祓から生まれた神様であることから、心身の清浄をもってあらゆる災いから身を守ってくださる「お清め・お祓いの神」として、古くから広く信仰されてきました。そしてもうひとつ面白いのが、三神の名前に共通する「筒」の字には星の意味があるといわれていること。星を頼りに海を渡った時代、住吉三神は航海の守護神として船乗りたちの厚い崇敬を集めてきました。全国の住吉神社の多くが海の近くにあるのは、そのためです。
黒田長政が再建した本殿と、「力」の字を宿す力士像
現在の本殿は、元和9年(1623年)に福岡藩主・黒田長政公が白銀2,000両と材木を寄進して再建したもので、国の重要文化財に指定されています。神社建築の中でも古い様式を伝える、風格のある社殿です。
境内で目を引くのが、古代力士をかたどった像。博多人形師の親子の合作によるものです。この像、右手の皺の形が漢字の「力」に見えると評判で、その手に触れると力をもらえるといわれています。勝負ごとを控えている方は、ぜひ手を合わせて(そして触れて)みてください。
境内の末社めぐり — 小判、のぞき稲荷、一夜の松
住吉神社の楽しさは、本殿だけでは終わりません。境内には個性豊かな末社が点在しています。
まず志賀神社には、大きな小判が奉納されています。これは志賀大神を氏神とする方が宝くじに当選したお礼として、「参拝の皆様にも福が授けられますように」と奉納したものだそうです。小判に触れて、良いご縁を結んでください。
荒熊・白髭稲荷神社の前には、たくさんの風鈴が吊られています。私が近づいていくと、それまでピタッと止まっていた風が吹き始め、美しい風鈴の音色で迎えてくれました。偶然といえば偶然ですが、こういう瞬間があるから神社巡りはやめられません。こちらのお稲荷さんには変わった参拝方法があり、鳥居の先の岩のほこらをのぞき込み、次に鏡に自分の姿を映して願いをかけると、祈りが聞き届けられるといわれています。また稲荷神社には五穀豊穣と商業の神・豊受大神が祀られており、商売繁盛のご利益で知られています。
社殿の左手にあるのが「一夜の松」。昔、社殿の造営の邪魔になるので松を切ろうとしたところ、一夜のうちにまっすぐになったという伝説の松です。命をつないだ松にあやかり、子孫繁栄・延命長寿のご神徳があるといわれています。このほか、神様たちの道案内をしたことから方角・交通安全・旅行安全を司る神様や、一寸法師のモデルになったともいわれる少彦名神(すくなびこなのかみ・五穀豊穣、健康祈願)など、境内には多彩な神様がいらっしゃいます。
三日恵比須神社 — 「笑門来福」と、なでる場所で変わるご利益
境内でひときわ人気なのが三日恵比須神社です。ご祭神は恵比須大神、ご神徳は「笑門来福」。笑いの絶えない家には自然と幸福が訪れる、という意味です。
拝殿のそばには恵比須様の像があり、なでる場所によってご利益が変わります。顔に触れると家内安全、お腹に触れると病気退散、鯛に触れると金運、腕に触れると技能向上。もちろん私は全部触れました。
この三日恵比須には面白い由来があります。昭和21年のお正月、初日の出を拝んでいた地元の方が、橋のたもとに古めかしい木箱が流れ着いているのを見つけました。すくい上げてみると、中には恵比須様の神像が。「思わぬ拾いもの、粗末にしてはもったいない」と家に持ち帰ってお祀りしたところ、様々な物事が不思議とうまく運んだり、宝くじに当選したりと、多くのご神徳をいただいたそうです。その噂は福岡市内はもとより近郊にまで広まり、福を求めて参拝する人が後を絶たなかったといいます。
天龍池と御神木 — 境内の外にもう一つの聖地
西門を出て道路を渡ると、天龍池という池があります。ここは昔の海の名残で、伊邪那岐大神が黄泉の国の穢れを落とすために海水で禊をされた場所がこの天龍池だという説もあるそうです。ほとりには樹齢500年を超える御神木がそびえ、池のそばの天津神社には、まさにこの地で禊祓を行ったとされる伊邪那岐大神が祀られています。ご利益は縁結びと家内安全。室町時代以前からこの地に鎮座しているお社です。
そして最後に、鳥居の上をよく見ると——小石がいくつも乗っています。宮地嶽神社の記事でも書いた「勝手に生まれる信仰」を、ここでも見つけてしまいました。誰かが願いを込めて投げ上げた石が、いつしか習わしになっていく。博多の街なかで1800年生き続けてきた神社の懐の深さを感じながら、境内を後にしました。
博多駅からすぐという立地なので、福岡観光の合間や出張の空き時間にも立ち寄りやすい神社です。お清めの神様に旅の安全を祈ってから博多の街に繰り出す、というのも良い過ごし方だと思います。
アクセス・基本情報
- 名称
- 住吉神社(筑前一之宮)
- 住所
- 福岡県福岡市博多区住吉3-1-51
- アクセス
- JR博多駅から徒歩約10分。西鉄バス「住吉」バス停下車すぐ。
- 駐車場
- あり(参拝者用・台数に限りあり)
- 時間
- 境内参拝自由(お守りなどの授与所は日中のみ)
- 料金
- 参拝無料