【糸島】夕日の名所・桜井二見ヶ浦へ — 海に立つ白い鳥居と夫婦岩、古代「伊都国」のロマン
糸島半島の北岸へ — ここは古代「伊都国」の海
糸島シリーズ第4弾は、糸島観光の代名詞ともいえる絶景スポット、桜井二見ヶ浦(さくらいふたみがうら)です。訪れる前に、ちょっとした豆知識をひとつ。「糸島」と聞くとひとつの市を思い浮かべますが、実は糸島半島の東側は福岡市西区で、西側が糸島市。桜井二見ヶ浦は糸島市側、半島の北岸に位置しています。
そしてこの糸島半島一帯、古代には「伊都国(いとこく)」と呼ばれる国があったと伝えられています。九州大学の伊都キャンパスの名前も、ここから取られたもの。今回は美しい海の景色とあわせて、そんな古代のロマンにも触れていきます。
魏志倭人伝に記された伊都国 — 邪馬台国論争のロマン
伊都国の名前が登場するのは、中国の歴史書「三国志」の中の、いわゆる魏志倭人伝。朝鮮半島から海を渡って倭国(日本)に至り、邪馬台国へ向かう道のりを記したくだりに、伊都国が出てきます。伊都国は大陸との交易の窓口で、中国や朝鮮半島の使者は必ずここに立ち寄ったのだそう。代々王が治め、その力は女王・卑弥呼の邪馬台国に次ぐものだったと考えられています。
糸島市内の平原(ひらばる)遺跡からは、直径46.5センチと国内最大の銅鏡「内行花文鏡」をはじめとする豪華な副葬品が出土し、2006年に一括して国宝に指定されました。古代の王の墓にふさわしい品々で、伊都国の繁栄ぶりがうかがえます。ちなみに魏志倭人伝は方角や距離の記述が曖昧なため、邪馬台国がどこにあったのかは今も論争が続いているのだとか。畿内説、九州説、はたまた南方説——。地図を眺めながらあれこれ想像するのも、この土地を旅する楽しみのひとつです。
海に立つ白い鳥居と、大注連縄で結ばれた夫婦岩
さて、桜井二見ヶ浦です。砂浜に立つ白い鳥居の向こう、海岸から約150メートル沖に、大注連縄で結ばれたふたつの岩——夫婦岩(めおといわ)が浮かんでいます。向かって右の男岩は高さ11.8メートル、左の女岩は11.2メートル。この夫婦岩こそ、山手に鎮座する櫻井神社の「宇良宮(うらのみや)」の御神体です。
右の男岩には伊邪那岐命(いざなぎのみこと)、左の女岩には伊邪那美命(いざなみのみこと)。日本の国土を生んだ夫婦の神様が祀られていることから、縁結び・夫婦円満のご利益で知られています。白い鳥居は「ここから先は神様の場所」という結界を示すもので、昭和43年の建立。青い海と空に白い鳥居が映える光景は、何度見ても心が洗われます。
重さ約1トンの大注連縄 — 毎年氏子の手で掛け替え
ふたつの岩を結ぶ大注連縄は、長さ30メートル、直径50センチ、重さはなんと約1トン。毎年4月下旬から5月上旬、大潮の日に合わせて、法被姿の氏子さんたちの手で新しい注連縄に掛け替えられます。海に入って人力で行われる勇壮な神事で、この「大注連縄掛祭」を目当てに訪れる人も多いのだそうです。
注連縄には「神様の宿る場所」を示す意味があります。荒々しい玄界灘の波に耐えながら、毎年新しく結び直される夫婦の絆。縁結びを願う人にこれほどふさわしい場所も、なかなかありません。
伊勢は朝日、糸島は夕日 — 夏至の絶景
「二見ヶ浦」と聞いて、三重県伊勢の二見浦を思い浮かべた方も多いはず。あちらも夫婦岩で有名ですが、面白いのはその対比です。伊勢の二見浦が夫婦岩の間から朝日が昇る「朝日の二見浦」であるのに対し、こちらは夫婦岩の間に夕日が沈む「夕日の二見ヶ浦」。日本の渚百選にも選ばれた夕景の名所です。
とりわけ夏至の頃には、夫婦岩のちょうど中央に夕日が沈む神秘的な光景が見られます。伊勢で昇った太陽を、糸島で見送る——東西の二見ヶ浦が朝日と夕日で対になっているなんて、太陽の神様の粋な計らいを感じてしまいます。私が訪れた日は雲ひとつない晴天で、平日にもかかわらず大勢の観光客でにぎわっていました。
まとめ — 訪れるなら夕暮れどきに
桜井二見ヶ浦へは、車なら福岡市中心部から約40分。海沿いの県道は「志摩サンセットロード」と呼ばれ、おしゃれなカフェが点在するドライブコースになっています。バスなら筑前前原駅や九大学研都市駅から「二見ヶ浦」バス停下車すぐ。市営の有料駐車場(1時間300円)もあります。
おすすめの時間帯は、なんといっても夕暮れどき。白い鳥居と夫婦岩のシルエットが茜色の空に浮かぶ光景は、糸島観光のハイライトです。なお、夫婦岩を御神体とする櫻井神社は、ここから山手へ車で10分ほど。江戸時代創建の社殿と神秘的な岩戸神窟をもつ、こちらも見ごたえたっぷりの神社なので、あらためて別の記事でご紹介したいと思います。伊都国の海に沈む夕日、ぜひその目で確かめてみてください。
アクセス・基本情報
- 名称
- 桜井二見ヶ浦
- 住所
- 福岡県糸島市志摩桜井
- アクセス
- JR筑肥線「筑前前原駅」北口または「九大学研都市駅」からバスで「二見ヶ浦(月と太陽糸島茶房前)」下車、徒歩約4分。車では福岡市中心部から約40分です。
- 駐車場
- あり(市営二見ヶ浦駐車場・1時間300円・約47台)
- 時間
- 見学自由(夕暮れどきが特におすすめ)
- 料金
- 無料