ARCANA/コラム/【福岡】宗像大社とは — 三つの宮と上陸禁止の島・沖ノ島、辺津宮で必ず立ち寄りたい3つの場所
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【福岡】宗像大社とは — 三つの宮と上陸禁止の島・沖ノ島、辺津宮で必ず立ち寄りたい3つの場所

I

宗像大社は「三つの神社」を合わせた総称

今まで見てきた神社の中でも、神秘性でいうとナンバーワンかもしれない——それが福岡県宗像市にある宗像大社です。この神社の一番の特徴は、「宗像大社」というひとつの神社があるのではなく、三つの宮を合わせた総称だということ。全国に約6,200社あるとされる宗像神社・厳島神社系の神社の総本宮でもあります。ちなみに「宗像市」という市の名前は、この神社に由来しています。

祀られているのは「宗像三女神」と呼ばれる三姉妹の女神。天照大神(アマテラス)と素戔嗚尊(スサノオ)の誓約(うけい)から生まれたと日本神話に記される、由緒正しい神様たちです。三姉妹はそれぞれ別々の宮に一柱ずつ祀られており、地図の上で三つの宮を線で結ぶと、九州本土から玄界灘の沖へ向かってほぼ一直線に並ぶのが大きな特徴です。

II

三つの宮の場所と行き方 — 一番遠い宮は「上陸禁止」

一つ目は、三姉妹の末っ子・市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)を祀る辺津宮(へつみや)。九州本土の宗像市田島にあり、最寄りのJR東郷駅からバスで約10分と、三宮の中で最もアクセスしやすい宮です。一般に「宗像大社」と呼ばれるのは、この辺津宮のことです。

二つ目は、次女・湍津姫神(たぎつひめのかみ)を祀る中津宮(なかつみや)。辺津宮から約11km沖に浮かぶ大島にあるため、船で渡る必要があります。東郷駅からバスで神湊港(こうのみなとこう)へ向かい、そこからフェリーで約25分。辺津宮に比べると、参拝のハードルは少し上がります。

三つ目が、長女・田心姫神(たごりひめのかみ)を祀る沖津宮(おきつみや)。大島からさらに約50km沖、玄界灘のただなかに浮かぶ絶海の孤島・沖ノ島にあります。そして行き方は——ありません。この島は神職以外の上陸が許されていない、文字どおりの「神の島」なのです。

ここまで聞くと「参拝のハードルが高すぎる」と思われるかもしれません。ところが宗像市の公式サイトによると、宗像大社には年間90万人以上もの参拝者が訪れています。人はなぜ宗像大社を目指すのか。その魅力を3つのポイントに分けて紹介します。

III

魅力その1:「道主貴」— 日本神話で三柱だけの特別な称号

宗像三女神には「道主貴(みちぬしのむち)」という別名があります。この「貴(むち)」は、最も尊い神にだけ贈られる特別な称号。日本神話でこの称号を持つのは、主神・天照大神(大日孁貴)、日本の国土を築いた大国主命(大己貴)、そして宗像三女神(道主貴)の三柱だけです。このメンバーに並ぶのですから、いかに特別な神様かが分かります。

ご利益は「道の神」らしく、海上安全・交通安全。地元福岡では宗像大社のステッカーを貼った車をあちこちで見かけますし、お祓いを受けに全国からドライバーが集まってきます。さらに「人を正しい道へ導く神」という性格から、自分を見失いそうなとき、何かに迷っているときに良い方向へ導いてくれる女神様としても人気があります。日本神話屈指の格式を持ちながら、悩める人の身近な力になってくれる——そんな懐の深さが宗像三女神の魅力です。

IV

魅力その2:辺津宮で必ず立ち寄りたい3つの場所

「三つの宮を全部回るのは大変そう」という方、ご安心ください。実は多くの参拝者は、アクセスの良い辺津宮だけを参拝しています。それでも大丈夫な理由が、これから紹介する場所にあります。

一つ目は「第二宮・第三宮」。本殿の奥に進むと、沖津宮の田心姫神を祀る第二宮と、中津宮の湍津姫神を祀る第三宮が並んでいます。本殿の市杵島姫神と合わせてお参りすれば、三つの宮すべての神様に参拝したことになるという、なんとも親切な設計です。船に乗らなくても三女神詣りが完結します。

二つ目は「高宮祭場(たかみやさいじょう)」。三女神が天から降り立った場所と伝わる、宗像大社を代表するパワースポットです。境内の奥、階段を上った先にあり、社殿を持たない古代の祈りの形を今に伝える貴重な祭場でもあります。近づくにつれて空気が変わる、訪れただけで心のモヤモヤが晴れた——そんな声が多く寄せられる、静かで神秘的な場所です。

三つ目は「神宝館(しんぽうかん)」。沖ノ島から出土した金の指輪やガラスの装飾品など、古墳時代からの奉献品を収蔵・展示するミュージアムです。拝観料はかかりますが、収蔵品約8万点がまるごと国宝という展示施設は、おそらく日本でここだけ。レア度は非常に高いです。

V

魅力その3:神宿る島・沖ノ島 — 島全体が世界遺産

宗像大社は2017年、「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」として世界文化遺産に登録されました。その中心が、あの上陸禁止の島・沖ノ島です。

時は遡ること約1600年前。地図で見ると沖ノ島は日本列島と朝鮮半島の中間に位置し、大陸との航路の要衝——いわば古代日本の最前線でした。人々はこの島で航海の安全と国の平安を神に祈り、島そのものがひとつの巨大な祈りの場だったのです。

この島には古くからの「聖域ルール」があります。島で見聞きしたことを口外してはならない。草木も石も、何ひとつ持ち出してはならない。こうした掟が、太古の昔から現代までずっと守られてきました。

その結果、何が起きたか。1600年前の人々が神への祈りに使った鏡や装身具が、ほとんど手つかずのまま、今も島に残されているのです。これはちょっと、鳥肌が立つ話ではないでしょうか。過去に行われた学術調査で見つかった約8万点の奉献品はすべて国宝に指定され、先ほどの神宝館に収められています。沖ノ島が「海の正倉院」と呼ばれるゆえんです。しかも調査が済んでいるのは島の約3割だけで、残りの7割は今も手つかずのまま眠っています。

かつては年に一度だけ、抽選で選ばれた一般参拝者が沖ノ島に渡ってお参りする機会がありましたが、世界遺産登録前後からそれも取りやめとなり、現在は神職以外が島に立ち入ることはできません。島でのことは口外しないという掟があるため、当時島に上陸した人の記録もほとんど残っていない——行けた人が少しうらやましくなる、神聖すぎて参拝できない神社。それが宗像大社の沖津宮です。

VI

まとめ — まずは辺津宮から

三つの宮がほぼ一直線に並び、その先端は誰も立ち入れない神の島。これほどスケールの大きな物語を持つ神社は、全国でもなかなかありません。それでいて、辺津宮に行けば第二宮・第三宮で三女神すべてにお参りでき、高宮祭場と神宝館で島の神秘の一端に触れられる。「遠い神様」と「身近な神様」が同居しているのが、宗像大社の一番の魅力だと思います。

交通安全のお祓いはもちろん、人生の道に迷ったとき、導きの女神様に会いに、まずは辺津宮から訪ねてみてはいかがでしょうか。

Accessus

アクセス・基本情報

名称
宗像大社 辺津宮
住所
福岡県宗像市田島2331
アクセス
JR鹿児島本線「東郷駅」からバス約10分「宗像大社前」下車すぐ。福岡市中心部(天神)からの直行バスも運行されています(最新の運行状況は公式サイト等でご確認ください)。
駐車場
あり(無料)
時間
境内参拝自由(神宝館は9:00〜16:30、入館は16:00まで)
料金
参拝無料(神宝館は別途拝観料が必要)
公式サイト
https://munakata-taisha.or.jp/
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