【糸島】海に浮かぶ竜宮城・箱島神社へ — 恋愛の神様と全国でも珍しい「お耳の神様」、ハートの御朱印は鎮懐石八幡宮で
海の上に浮かぶ小さな島、それがまるごと神社
今回訪れたのは、福岡県糸島市の箱島神社(はこしまじんじゃ)です。玄界灘に面した国道202号のすぐ脇に、こんもりと緑をたたえた小さな島が浮かんでいて、その島全体が神社の境内になっています。地元では「箱島さま」と親しまれてきました。
実はこの場所、私にとってはずっと「いつも車で横を通り過ぎるだけの島」でした。若い頃にはこの道を何度も往復していたのに、まさかこんなパワースポットだったとは。今回、人生で初めて島に渡ってきました。灯台もと暗しとはこのことです。
当日はもともと雨予報だったのに、着いてみれば気持ちのいい晴れ。磯の香りに包まれながら島を目の前にすると、「江戸時代には竜宮城と称えられた」という説明書きにも素直にうなずけます。海の青と島の緑のコントラストが、本当に絵のように美しいのです。
岩場をわたって島の上へ — 参拝は歩きやすい靴で
かつて島へは橋が架かっていたそうですが、今はありません。現在は陸地から岩場や砂浜を歩いて渡ります。潮の満ち引きによって足元の様子が変わるので、参拝前に潮位を確認しておくと安心です。
島に取り付くと、岩を刻んだ急な階段を登って社へ向かいます。足場が狭く、角度もなかなかのもの。私はうっかりサンダルで行ってしまい、ひやひやしながらの参拝になりました。公式サイトでも滑りにくいゴム底の靴が推奨されています。ヒールやサンダルは避けて、スニーカーでどうぞ。
お社の前からは玄界灘が一望でき、この景色だけでも渡る価値があります。島の下部をぐるりと巡る岩場もあるのですが、こちらはかなり足場が険しく、私は途中で引き返しました。無理は禁物です。
恋愛の神様・愛染明王 — 「信じると美しくなる」
箱島神社が「愛の島」と呼ばれるゆえんが、御祭神のひとつ・愛染明王(あいぜんみょうおう)です。真言密教で愛欲を悟りの力に変えるとされる仏様で、近世には恋愛を助ける神様として広く信仰されてきました。「愛染明王を信じると美しくなる」とも伝えられていたそうで、恋愛成就と美貌、ふたつのご利益を願えるなんとも欲張りな神様です。
このほか島には、村を守り悪い気を防ぐ栲幡千千姫命(たくはたちぢひめのみこと)、商売繁盛のえびす様として知られる西宮大明神も祀られています。小さな島に、暮らしを支える神様がぎゅっと集まっているのです。
火吹き竹で耳を吹く — 全国でも珍しい「お耳の神様」
そしてもうひとつ、箱島神社を特別な存在にしているのが「お耳の神様」。耳の病を癒してくださる神様として古くから信仰されていて、社には火吹き竹(ひふきだけ)——かまどの火を起こすときに使う竹筒です——が奉納されています。この火吹き竹で耳を吹けば、耳の病が治ると伝えられてきたのだそうです。
耳の神様を祀る神社は全国でも数えるほど。耳鳴りや聞こえの悩みを抱える方が、遠方からもお参りに来られるといいます。恋の願いも、体の悩みも受け止めてくれる。小さな島ながら、懐の深い神様たちです。
竜宮城と称えられた島 — 仙厓和尚と大正ロマンの面影
箱島の歴史をたどると、この島がいかに愛されてきたかが分かります。江戸時代には、博多・聖福寺の名物和尚として知られる仙厓(せんがい)さんがたびたびこの島を訪れ、「幾千代か浦島の子の玉手箱 隠してここに 沖津しら波」という歌を残しました。浦島太郎の玉手箱がこの島に隠されている——竜宮城の名にふさわしい、ロマンあふれる見立てです。
さらに大正5年(1916年)から昭和初期にかけては、島に数寄屋造りの料亭が立ち並び、観光地として大いににぎわったのだとか。筑豊の炭鉱王・伊藤傳右衛門も訪れたと伝えられています。残念ながら建物は昭和18年頃の台風で倒壊してしまいましたが、静かな島に立って波の音を聞いていると、華やかだった時代の面影がふと浮かんでくるようでした。
まとめ — ハートの御朱印は鎮懐石八幡宮で
箱島神社には社務所がなく、御朱印は車で10分ほどの鎮懐石八幡宮(ちんかいせきはちまんぐう・糸島市二丈深江)でいただけます。ハートをあしらった愛らしい御朱印は2019年の頒布開始以来大変な人気で、これを目当てに全国から参拝者が訪れるほど。受付は9時から17時までです。
ひとつ注意したいのが駐車場。神社前の国道は駐車禁止で取り締まりも行われているので、近隣のコインパーキングか加布里公園の駐車場を利用しましょう。毎年4月21日には例大祭が行われ、冬の12月から2月頃には、海と空の条件が合うと「神の光」と呼ばれる神秘的な光景に出会えることもあるそうです。
海に浮かぶ竜宮城で、恋の願いを、耳の健康を、そして美しくなる願いまで。糸島ドライブの途中にふらりと立ち寄れる場所にありながら、渡ればそこは別世界。歩きやすい靴だけ忘れずに、ぜひ訪れてみてください。
アクセス・基本情報
- 名称
- 箱島神社
- 住所
- 福岡県糸島市二丈浜窪86
- アクセス
- JR筑肥線「加布里駅」から徒歩約30分。車では福岡市中心部から国道202号経由で約40分です。
- 駐車場
- 専用駐車場なし。近隣のコインパーキング「かふりパーキング」(1時間200円・徒歩約4分)や加布里公園の無料駐車場(徒歩約9分)を利用。神社前の路上駐車は取り締まりがあるため厳禁です。
- 時間
- 参拝自由(社務所はありません。御朱印は鎮懐石八幡宮にて9:00〜17:00)
- 料金
- 参拝無料