ARCANA/コラム/【糸島】神功皇后の「鎮懐石」が今も眠る鎮懐石八幡宮へ — 九州最古の万葉歌碑と、話題のカラフル御朱印
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【糸島】神功皇后の「鎮懐石」が今も眠る鎮懐石八幡宮へ — 九州最古の万葉歌碑と、話題のカラフル御朱印

I

箱島神社の御朱印を求めて、海を望む丘の上へ

前回ご紹介した箱島神社の続きです。箱島神社には社務所がないため、御朱印は車で10分ほどの鎮懐石八幡宮(ちんかいせきはちまんぐう)でいただくことになっています。せっかくなので御朱印だけでなく、こちらの神様にもきちんとご挨拶をしてきました。

鎮懐石八幡宮が鎮座するのは、糸島市二丈深江、玄界灘を見下ろす丘の上。参道の石段には緩やかなルートと急なルートがあり、私はうっかり急なほうにチャレンジしてしまいました。かなりの角度で、思わず手をつきながら登るほど。登り切った先には、海と空が広がる清々しい境内が待っていて、頑張った甲斐がある眺めでした。

II

神功皇后が身につけた「鎮懐石」— あの伝説の石が、ここに

このコラムを読んでくださっている方なら、「神功皇后が石で出産を遅らせた」という伝説に聞き覚えがあるかもしれません。以前、筥崎宮の記事でご紹介したお話です。応神天皇を身ごもったまま海を渡ることになった神功皇后が、卵形の美しいふたつの石を腰に挟み、「帰国するまで生まれませんように」と祈ってお腹と心を鎮めた——。

その願いは叶い、皇后は無事に帰国して応神天皇を出産します。そして帰路、役目を果たしたふたつの石を、この深江の「子負原(こふのはら)」の丘に納めて祀ったと伝えられているのです。「懐(お腹)を鎮めた石」だから鎮懐石。つまりこの神社には、あの伝説の石そのものが祀られているというわけです。約1800年前のお話が、目の前の丘に着地している。この感覚こそ、歴史のまち糸島の醍醐味です。

御祭神は神功皇后・応神天皇、そして両天皇に仕えた忠臣・武内宿禰(たけうちのすくね)。この由緒から、安産・子授けの神様として篤く信仰されています。

III

古事記・日本書紀・万葉集に記された、由緒正しき石

鎮懐石のすごいところは、その伝説が日本最古級の書物にしっかり記録されていることです。古事記(712年)、日本書紀(720年)、そして万葉集。いずれにもこの石のことが登場します。

なかでも有名なのが、奈良時代の歌人・山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだ「鎮懐石の歌」。憶良は歌だけでなく、石の長さや周囲の寸法、人々が実際にお参りしている様子まで克明に書き残しています。奈良時代にはすでに、この石が信仰の対象だったということです。境内には安政6年(1859年)建立の万葉歌碑があり、これは九州最古の万葉歌碑とされています。歌碑としての歴史だけでも160年以上。刻まれた内容は1300年前のもの。時間の奥行きがすごい神社です。

IV

境内の見どころ — 石づくしのパワースポット

境内を歩くと、とにかく「石」にまつわるものが目につきます。本殿には鎮懐石が祀られ、願いを込めてお参りする「願い石」も。ほかにも神功皇后の船をつないだと伝わる「船繋ぎ石」、貞享2年(1685年)に築かれた高さ20メートル級の城壁のような高石垣など、石好きにはたまらないラインナップです。

そして忘れてはいけないのが、丘の上からの眺め。眼下に深江の海岸線と玄界灘が広がり、参拝のあとしばらく立ち去りがたくなる景色です。境内には金運・出世の象徴とされるクロガネモチの大木もあり、こぢんまりとした境内に見どころがぎゅっと詰まっています。

V

話題のカラフル御朱印 — 手書きから書き置きになった理由

さて、お目当ての御朱印です。鎮懐石八幡宮の御朱印は、色鮮やかなデザインで知られる人気の御朱印。季節ごとに意匠が変わり、私がいただいたものもとても美しい仕上がりでした。箱島神社のハートをあしらった御朱印も、こちらでいただけます(各500円・受付9時〜17時)。

ちなみにこちらの御朱印、以前は手書きで書いていただけたそうなのですが、あまりの人気に宮司さんが腱鞘炎になってしまい、現在は書き置きでのお渡しになったのだとか。文字は宮司さんが書いたものを印刷し、押印は今も一枚一枚手作業だそうです。全国から参拝者が訪れる人気ぶりが伝わってくるエピソードです。

VI

まとめ — 「石の神様」がつなぐ糸島めぐり

あらためて気づいたのですが、糸島は「石の神様」の宝庫です。今回の鎮懐石八幡宮から車で15分ほどの神在(かみあり)神社には、竹林の中に高さ約4メートルの球形の巨石「神石(しんせき)」が鎮座していて、人気漫画「鬼滅の刃」で主人公が斬った岩に似ていると聖地巡礼スポットになっています。箱島神社、鎮懐石八幡宮、神在神社と、石と海の神様をめぐる糸島パワースポットコースが組めてしまいます。

鎮懐石八幡宮へはJR筑肥線・筑前深江駅から徒歩約10分、無料駐車場もあります。石段は急なほうを選ぶとなかなかスリリングなので、こちらも歩きやすい靴がおすすめ。安産・子授けを願う方はもちろん、万葉の歌に思いを馳せたい方、美しい御朱印を集めている方も、ぜひ箱島神社とセットで訪れてみてください。

Accessus

アクセス・基本情報

名称
鎮懐石八幡宮
住所
福岡県糸島市二丈深江2143-1
アクセス
JR筑肥線「筑前深江駅」から徒歩約10分。車では福岡市中心部から国道202号経由で約45分です。
駐車場
あり(無料)
時間
参拝自由(社務所・御朱印の受付は9:00〜17:00)
料金
参拝無料
公式サイト
https://www.chinkaiseki.com/
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